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『電話』 Case Vincent × Sephiroth (in the past)

「ああ、解った。……では」
 電話の向こうの同僚に告げて、受話器を置こうとした。

「ヴィンセント、ちょっと待て」
「何だ?」

 ふいに呼び止められ、何事かと不審に思っていると、受話器からはがさごそと物音が聞こえてくる。ますます不審に思い、
「ヴェルド?何なんだ?」
何事かと問い質すと、まったく別の答えがあった。

「ヴィン?」
「……セフィロス?」
「うん」

 稚い子供の声だった。随分と久しぶりに聞いた声のような気がするが、実際にはニブルヘイムの屋敷を離れてまだ三日しか経っていない。

「あのね」
「どうした?」

 三日ぶりの会話だと言うのに、セフィロスの声はどことなく沈んでいる。そんな幼い声が、やや躊躇するように、何度か、あのね、ええとね、と繰り返された後に、ようやく用件が語られた。

「……かえってくる?」

 いつ?でもなく、ただ、帰って来るのか来ないのかだけを問う、シンプルな質問に少々戸惑った。

「……その、」
「ちゃんと、かえってくる?」

 答えに戸惑ったのはきっと、セフィロスに屋敷を空けることを告げずに、真夜中こっそり出立したことを後ろめたく思っているからだ。。
 そして、セフィロスがこんな質問をするのも、朝起きたらヴィンセントが、何も告げずにいなくなっていたからなのだろう。

「明日、帰るよ」
 だから大丈夫だ、という言葉は飲み込み、事実だけを口にする。
「うん。あした、ね」

 まってるから、とも、はやくかえってきて、とも言わずに、じゃあね、という言葉だけを残して、電話は切れた。

 無言になった受話器を置いて、明日あの子が目覚めるよりも早く、屋敷に戻ろうと思った。

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