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Memo-log -clap log-

「おおきくなったら、およめさんにしてあげる」

 ずっとずっと先のことなら、いくらでも口に出来るのに。
 とおいとおい未来のことなら、何だって言えるのに。
 
「おてんきになったら、あそぼう」

 そんな小さなことが、言えないなんて、どうしてだろう。
 だから、せめて一日の終わりに、ありったけの勇気を出して、
 
「また、あしたね」

 何もなくても良い、だからせめて一緒にいてねと約束をする。  

「続きは明日だ」

 半分まで読んだ本を閉じながら、小さな小さな約束をする。
 明日ならば、まだ、きっと。
 
「おおきくなったら、つれてってくれる?」

 そんな無邪気な願いに、叶わないと知りつつ頷くことは出来なくて。
 守れない約束ならば、しないほうがきっと良い。
 
「また、あしたね」

 だからせめて、その願いにだけは、頷き、約束をする。

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