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Memo-log -clap log-

 「さよなら」でも、「また」でもない。
 「じゃあな」と素っ気なく別れの挨拶を告げた。

 『その時、私が困ってたら……クラウド、私を助けに来てね』
 守れた約束。
 それはなかなか伝わらなくて、なかなか告げられなくて。
 だけど守れた約束。
 他には何も、できなかったけれど。

 『じゃあねえ……デート、1回!』
 守ってくれた約束。
 それが最後の想い出になるなんて、思ってもみなかったけれど。

 『俺たちはなんでも屋をやるんだ』
 守れなかった約束。
 なんでも屋を無意識に名乗っていた自分。
 それでは約束を果たしたことになんて、なるはずがないのだけれど。

 別れ際に、次会う時のことなど約束をしたことは一度もない。
「またな」と再会を約すことも、「さよなら」と決別を約すこともない。
 いつも「じゃあな」と曖昧な言葉だけを残して、去っていく背を見送ることすらしない。
 それが一番、自然な距離なのだから。  

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