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Memo-log -ShortStory-

 何の予定もない、オフの午後。
 ソファで雑誌をめくっていたら、とすんと微かな振動、隣に人の気配。
 そんな端っこなんかに座らないでもっとこっち来ればいいのに。
 別に雑誌なんて真面目に読んでたワケじゃないし、そもそも真面目に読むような雑誌でもないし。
 でもわざと熱心に読んでるフリをしてみたら、衣擦れの音がして、じりじりとにじり寄ってきて、いつのまにやら肩と肩が触れてた。最初っからそうすりゃ良いのに、まったく。
 それでもまだ雑誌に目を落としたままでいたら、軽く肩にさらりと何かが触れる。銀のさらっさらの長い髪。
 ほんとは笑い出したいんだけど、理性を総動員で我慢。意外と我慢強いんだよ、これでも一応軍人だし。
 肩に触れる髪をさわさわと撫でてやると、ほんの微かに満足そうなため息。
 そのまま髪を撫でながら、とっくに内容なんてどうでもよくなってる雑誌を読み続けた。
 
 お、これ欲しかったマシンの新型。
 ふと目に付いた記事を今度はほんとに真面目に読む。
 下っ端だったころとは違って、それなりに余裕のある身、たまには奮発するのもアリかもな。
 そんなこと思ってたら、肩口にぐいと何かが押しつけられた。
 思わず雑誌から顔をあげて、自分の右肩を見てみたら、俺の肩にこてんと頭を乗せて、俺の顔を見上げてるセフィロスとばっちり視線があった。
 セフィロスが慌てて目を閉じる。

「何寝たフリしてんの」

 返事はない。目は閉じたまま、でも長い睫がふるふるしてる。 
 もう、だめだ、降参。
   
「…なに…を…っ」

 雑誌を放り投げて、両手でわしゃわしゃとセフィロスの髪をぐちゃぐちゃにしながら撫で回した。
 そういえば雑誌に夢中になって、髪撫でてたの忘れてたな。

 ひとしきりセフィロスの頭を撫で回して、手を離すと、ふるふるとセフィロスが頭を振って、顔にまとわりついた長い髪を振り払おうとする。
 ああ、もうこいつなんでこんなに可愛いんだろう。
 ぎゅうっと抱きしめて、乱れた髪を整えるように撫でてやったら、ぎゅうっと抱きしめ返された。

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