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監禁プレイの成立要件。

決して、「監禁」に非ず。
「監禁プレイ」の成立要件は以下。

1.原則として、閉じ込める側と閉じ込められる側は同じ室内に存在しなければならない。
 すなわち、閉じ込める側も監禁場所に共にいなければならない。

2.閉じ込めた側は、監禁場所から脱出する手段を確保していなければならない。


以上を念頭において、折りたたみへGO!



「ん……」

 眩しくて目が覚めた。
 カーテンなどつける気もないのだろう、ガラス窓からは燦々と日差しが入っている。
 すっかり日は高い。昨夜は……と言っても明け方に近い時間だったはずだが、例によって抱き合ったまま、気を失うように眠ってしまった。
 果たして、今は一体何時なのだろう。
 そう思い、部屋を見渡して気付く。
 ……ヴィンセントが、いない。

 適度な広さのこの廃ビルの一室は、もともと住居ではなくオフィスか何かだったのだろう。
 複数の部屋があるようなつくりではなく、ただ広い空間があるだけで、他には給湯室と言ったほうがふさわしいような簡易キッチンと、さして大きくもないバスルームがあるだけだ。
 だから、探すような場所などどこにもない。
 部屋の中も、広い寝台とソファセットがあるくらいの殺風景なもので、死角になるような場所はないのだ。
 見回して誰もいなければ、すなわちここには自分ひとりしか存在していないということに等しい。
 仮に給湯室かバスルームにいるのならば、水音やコンロの音など、何かしらの生活音がするはずだ。そんな音は一切しない。
 そもそも、人間の気配が、この部屋には、無い。

「あ……」

 寝台から降り、数歩歩いてぺたりと床に座り込む。

「なぜ……」

 置いていかない、と、言った、の、に……。

 ぎゅうと自分の身体を抱きしめ、目を閉じる。
 何も見たくない、聞きたくない。
 一人だなんて、解りたくない。
 何処かからか、どんどん、と壁を叩くような音が聞こえる。
 うるさい、うるさい、うるさい。
 床に座り込んだまま、目を閉じて、両手で耳を塞ぐ。
 ふと、名前を呼ばれた気がした。
 ゆるゆると耳を塞いでいた手を下ろし、目を開ける。
 どんどんとまた壁を叩く音。

 ……室内から、聞こえる?
 
「バスルーム……か?」

 
 早く確かめたくて、駆け出したい気持ちを抑え、用心しながらバスルームへ向かう。
 曇りガラスの向こうに人影が見える。

「ヴィン…セント?」

 小さく声をかけると、ああ、と返事があった。

「開けてくれないか?」

 と続けて浴室から声がかかる。
 何故自分で出てこないのだろう。
 不思議に思いながら、ドアを開けた。
 浴室なのだから、当然と言えば当然なのだろう。だが、衣服を身に着けていないヴィンセントの姿が目に入り、困惑する。

「何を……してるんだ?」
「ノブが壊れた」

 壊れた、というよりは、取れたというべきだろうか。
 いずれにせよ、古い建物だ。見えない部分がすっかり錆びて朽ちていたのだろう。
 浴室の内側のドアノブはすっぽりと外れてしまっていた。
 これでは内側からはドアが開けられない。どうやら、それでヴィンセントはずっと浴室内に閉じ込められていたらしい。
 おそらく、セフィロスが眠っている間に、ヴィンセントはシャワーでも浴びていたのだろう。そしてドアが壊れて出られなくなった。
 現役の軍人だったころならともかく、今は一度眠ってしまうとなかなか起きないセフィロスだ。呼ばれたところで気付きくはずがない。
 とは言え。

「ドアを壊せば良かったんじゃないか?」
「それはそれで、後々面倒だろう」

 素手でもドアを破るくらい大した問題ではなかったはずだ。
 脱出の手段はいくらでもあったろうにと思ったセフィロスは素直に疑問を口にした。

「だからと言って……」

 そんな格好で自分が起きるのを待っていなくとも良かろうと思う。

「お前は本当に寝起きが悪いな」
  からかうように言われて、ふつふつと腹が立ってきた。
「……うるさい。だいたい、元タークスなのだろう?何故ドアくらい開けられないんだ」

 置いていかれたかと思ったのだ。
 ……不安、だったのに。

「機嫌が悪いようだな……?」
「……うるさい……っ」

 左手を取られて、振り払おうとしたけれど、出来なかった。
 そのまま、腕を引かれ、まだ浴室内にいたヴィンセントの目の前に立たされる。
 俯くと、顔を覗き込まれた。

「すまなかったな」

 急に、そんな、声を、出さないで、欲しい。
 そんな、優しい声を。
 優しい、触れるだけのキスを。

「……も……っと……」

 たまらなくなって、唇を開いて自分から誘った。
 舌を絡ませながら何度も口付けを繰り返す間に、羽織っていたバスローブは床に落とされ、一糸纏わぬ姿で抱きしめられる。
 だんだんと膝に力が入らなくなり、支えられるように抱かれながら、浴室のドアに身体を押し付けられた。

「ぁ……んっ……」

 締め切られた室内に、バスルーム特有の反響も手伝い、甘い声が響き渡った。





 しばらく後。

「け、結局壊すんじゃないか」
「煽ったお前が悪い」
「ドアに押し付けたのはお前だろう」
「抱いてくれとねだったのはお前のほうだ」
「……そんなこと、言ってない」
「そうだったか?もっと、と言われた気がするが」
「…………っ!!」

 がこんっ!!

 セフィロスの長い足が宙を舞い、内側からは開かなくなった古いドアを蹴破った。




要するに、現在の霧月宅の風呂場がこんな状態だってハナシです(笑)
ドアノブぶっ壊れて、内側から閉めたら自力じゃ出られないんですよ。
早3日経つんですが、直す気配がないのだが……母上、頼むから早く修理業者呼んでくれorz

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