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振り返れば

昨日、サイトのオフラインページを編集していて、ふとここまで何冊本作ったんだっけ?と思いまして。
ジャンル自体はFFにずっといるんですけど、扱ってる作品が変わったし、ここ2年ほどはずっと4で書いてますが、本編だったりTAだったりDDFFだったりするので、本に通し番号振ってないんですよね。
たしかそろそろ合同誌を含めればオフ本だけでも10冊は超えていたと思ったんですけど、コピ本含めると18冊になるみたいです。
驚いた。
オフ本が11冊、コピーが7冊になる模様。
作品別だと、
FF7で4冊(うち合同誌1冊)、ディシディアで5冊(うち合同誌2冊)、FF4で9冊。
ディシディアはカイセシが2冊あるので、これもFF4と言えなくもないんですけど。
いずれにせよディシディア本はカイセシでない本にもカインとセシルを出しているので(それどころかカイセシ前提にしている本もある)、かなりの量、この二人を書いたことになるみたいです……なのに書く事が尽きない。
不思議だ……。
最初に書いたカイセシ本とか、今もここを見たりイベントに来てくださる方で読んだ事ある人っているんだろうか……デシムの直後に発作的に出したので、もう2年半ほど前になりますね。
一番最初に出したのに、甘さの一切ない、バッドエンド一直線というどうしようもない話でしたwww懐かしい。
ある程度数が溜ったらコピ本は再録本作ってもいいかなーと一瞬思ったんですが……コピ本はわりと挑戦というか試験的なものを書くことが多いので、まとめるとすっごいカオス……無理かもなぁ。

たまに昔作った本を読み返す事があるんですけど、さすがに7の頃の本なんかは、装丁が恥ずかしいですね!
文字組みひどいな!と思います。
が、どの本も(オフにせよコピーにせよ)、全力で作ったものなので、それぞれに思い出があって、中身もけっこう自分でも楽しんで読めたりします。
長編とか、ほんと、よく設定作ったよなーなんて自画自賛したりする。
『雪白の月』とかすごい好きです。あれはほんっとうにプロットをすごく細かく立ててあって、ゲームとかなり細かい部分まで一致させてあります。ディシディアはキャラが多いから各キャラの行動表みたいの作るんですけど、それがだいぶ凄いことになっていたはず。
そんなディシディアですが、来年、長編書きたいなーと思ってます。
今度はカインさん主体で。
前々から、セシルがなんで暗黒騎士にもなれるのか突き詰めたいって言ってたと思いますが、それに答えが見つかりそうな感触でして。また半年程度寝かせてネタを練るので、来年の夏くらいでしょうかねぇ……気の長い話ですw


さて、予告した通り、だいぶ前の続き載せます!
えーっと、前回が5、6個前の日記になると思います。

で、あと2回で終わると言いましたが、長くなったので今回含めてあと3回で……。
書き終わってますので、残りも明日・明後日で載せますね。
今週中にはピクシブにもまとめてアップしますので、もう前の話覚えてねぇよ!って人はそれまで待っててください……若干書き直したりもすると思うので。



「長老が、村までご足労頂きたい、とのことです」

 ミシディアからの使いだと言う魔導士の二人連れが尋ねてきたのは、拾った子猫と暮らし始めて一月半ほどがたった頃のことだ。
 こういった来客があることは、特に珍しいことでもない。
 この山に籠もるに当たって、ミシディアの長老に、一言断わりを入れてはいた。そのせいだろうか、時折、こうして使いの者が小屋を訪ねてくる。
 招来には出来る限り応じることにしていた。手強い魔物が出るので退治して欲しい、というような依頼をされることが多い。
 詳細はミシディアに行くまでわからないが、おそらく今回も似たような話になるのだろう。

「……支度をするから少し待て」
 そう返事をして、踵を返す。
 支度と言っても、大したことはない。
 装備さえ調えれば良く、食料やアイテム類の旅に必要なものはミシディアで用意されている。
「ニャァ」
 手早く武装を調えていると、足元に子猫が擦り寄って来た。
 共に暮らすようになって、一月半。拾った時は、掌に載るくらいの大きさだった子猫は、二回りほど大きくなっていた。
「……お前はどうする?」
 ほぼ確実に魔物退治になるとわかっている以上、連れて行くのは憚られた。
 元は野良猫だ。いや、今もカインが飼っているというわけではない。勝手に小屋に住み着かれただけだ。
 多少の食料を置いていけば、あとは勝手にするだろうか。
 
 小屋を出て、先導する魔導士達の後を追って山道を下っていく。
 そのカインの後を、子猫は必死になって追ってきた。
 じゃあな、と一声言い置いて小屋を出たカインを、最初はいつもの修練に出かけるだけだと思ったのだろう。
 だが、常とは異なり山を下る道を歩いて行く姿に、子猫なりに何か思うところがあったのだろう。
 慌てて、走って追いかけてきた。
 だが、やはり連れて行くわけにはいかないのだ。
 下手に構い立てるよりは、放っておく方が良い、そのうち小屋に帰るなりするはずだ、とそう思った。
 しかし子猫は諦めない。
 追いついたカインにまた置いて行かれると、走って追いかける。よたよたと歩きそしてまた距離が広がると駆け出す。
 何度も何度もそれを繰り返し、ついに山の麓に辿り着いた時、結局折れたのはカインの方だった。
 
 ひとつ大きく嘆息するとカインは子猫をつまみ上げ、背負っていた荷袋の上に載せる。
 前を歩いていた魔導士達が振り返った。若い女性の白魔導士と、壮年の男性の黒魔導士の二人組は、長老から厳命されているのだろう、余計な事は何一つ口にしない。
 だが特に白魔導士のほうは、追いかけてくる小さな猫がかなり気になっていたらしい。
 カインが猫をすくい上げるのを見て、安堵したように小さく微笑んだ。
 山の入り口には3羽チョコボが繋いであった。
 彼らはチョコボを駆ってミシディアの街を目指す。
 
 街についたら、そこで子猫を置いていこうとカインは思っていた。
 山奥の誰もいない場所に置き去りにするよりは、街中のほうがまだマシかもしれない、そう考えることにした。
 ミシディアは故郷バロンほどではないにせよ、それなりに大きな街だ。裏路地に入れば野良猫などの姿も多く見る。
 まだ幼い子猫だが、生きていくには十分だ。
 自分も長老からの依頼が済めば、報告のため一旦ミシディアには立ち寄る。
 その時にまた子猫と縁があり、子猫がそれを望めば山へ一緒に帰っても良いだろう。

 この猫は、決して自分の飼い猫などではない。
 共に生きる相手など、それがたとえ人間でなくとも、今更望むつもりはなかった。
 
 
 
 ミシディアの街へ到着する少し前から、雨が降り出していた。
 徐々に雨足は強くなり、街へ到着する頃にはすっかり土砂降りの雨になっていた。
 時刻は夕刻にはまだ少し早い時間だ。だが、悪天候のせいか、空は薄暗く、街は暗く沈んでいた。
 長老の住む館の前で、カインは子猫を地面に下ろした。
「お前は中には入れない。ここで待っていろ」
 石段の上に座った子猫にそう告げる。
 屋根があるから、雨を凌ぐには十分だろう。
 ナァ、と銀色の猫が一声鳴いた。
 わかった、と返事をしたようだった。
 
 子猫と別れ、館に入る。
 さすがに雨の中を来たずぶ濡れの姿のまま、ミシディアの最高位たる長老に会うわけにはいかない。
 招いたミシディア側も当然、館に部屋を用意していた。そこで身なりを整えると、程なくやはり乾いたローブに着替えた魔導士達が迎えに来た。
 長老の待つ部屋に向かって廊下を進む。
 館には、主に魔導士たちの姿が多くある。
 この館にはカインも見知っている双子達も暮らしているはずだが、ここで一度も顔を合わせたことはなかった。おそらくは長老の采配なのだろう。 
 多くの魔導士達をすれ違う中、ふと一人の少女の姿が目を引いた。
 薄水色のドレス姿は、当然魔導士のものではない。
 どこかの貴族の家の令嬢だろうか、ここで魔導士以外の者を見かけるのは珍しい。
 そう思って何気なく振り返ったカインの目に映った蜂蜜色の長い髪がなびく後ろ姿は、記憶の底にしまった彼女の姿に少し似ていた。
 
「よく参られた」
 長老の待つ、館の中央にある部屋に入ると、ゆったりとしたローブ姿の老人が立ち上がる。
 呼びつけて申し訳ない、と言う長老に、自由な身なので気にしないでほしいと型どおりの言葉を返す。
 そしてすぐに、今回呼ばれた用件が切り出された。

 こうして長老と対面し、話をするのはすでに片手では足りない回数に及んでいる。
 だが、バロンに帰るつもりはないのか、という問いはおろか、修行の具合さえ長老に尋ねられたことはない。
 村に招かれた際に、晩餐を共にすることはある。だがそこで出る話は、当たり障りのない世界情勢についての話で、バロンはもちろん、エブラーナやファブール、ダムシアンの王達やその周囲の人々の話が出ることさえなかった。
 それもまた、長老の気遣いだったのだろう。
 カインが長老からの依頼を断らない理由も、そこにあった。
 おそらく、カインが俗世のすべてとの関係を断ってしまわないように、最低限の繋がりを残してくれている。それは理解できたし、その気遣いは決して居心地の悪いものではなかったからだ。
 
 長老の依頼は、カインの予想通り、とある村の近くに大型の魔物が出るので退治してもらいたい、というものだった。
 確定はしていないが、どうやら魔物の正体は、ドラゴンらしいという話があるのだという。ドワーフ達の住む地底ではドラゴンが出ることも珍しくはないが、地上では非常に稀なことだ。
 試練の山まで使いに来た、白魔導士と黒魔導士をサポートにつけるので連れて行ってくれて構わない、とのことであった。
 相手が竜であれば、戦わずに住処へ返してやることも出来るかもしれない。
 だが、魔物が竜でなかった場合や、竜であったとしても戦いが避けられない場合も考慮し、魔導士達のサポートは有難く受け入れることにした。
 明朝出立しようと決め、カインは長老の元を辞した。
 
 今後の予定も立ったところで、カインは与えられた部屋ではなく、館の外へと向かう。
 子猫とはここで別れなければならない。せめて街の中心地まで連れて行って置いてくるべきだろうか。
 いずれにせよ、先ほどカインは子猫にここで待つように告げている。
 子猫がその場所で待っていることを、カインは疑いもしていなかった。


えーっと、カインさんin試練の山については、私の中ではいろいろと考えてある設定がありまして。
いつか書く予定の超長編に入れたいので細かくは伏せますが、まったく山を下りていないということはないと思ってます。
生活の都合もあるので、たまに近く(と言っても山からは最低半日は歩く)の村に買い物に行ったりとか。
ミシディアからは今回書いたみたいに、たまに使いの人がやってきます。で、カインさんは魔物退治なんかしてます。その謝礼を少しだけもらって、それを生活の糧にしてるっていう設定。実家の資産はまったく持ち出してないので。
TAでミシディアの長老がカインさんが山にいることは確信してるみたいだったので、こういう裏事情があってもいいかなーと思います。
ポロムを使いに出したのは、いつもの魔物退治じゃなくて緊急事態だってことをカインさんに解ってもらいたかったから、なんですね。でもポロムが会ったのは悪カインさんのほうなので以下ゲーム参照。
ついでに言うと、カインさん、山籠り中に、エッジとは何度か会ってます。リディアとも会ってるかもね(これはまだ自分の中では決定はしてない)。
逆にセシルとローザとは一度も会ってません。
あと、さらについでだけど、私はセオドアがセシル達の子供だと言うことにカインは気付いていたと思ってます。少なくとも、バロンの王子の名前がセオドアだということは知ってたと思う。ある程度バロンや世界の情勢を情報としては仕入れてたという前提でTAは書いてます。
ゲーム中、バロン城でセオドアが両親の名を口にしてカインが驚くシーンがありますが、あれはセシル達の子供だったことに気付いて驚いたんじゃなくて(攻略本のスタッフインタビュー読む限りはこっちが正解みたいですけどね)、それまでずっと自分の正体を隠していたセオドアが王子だということを明かしたということに驚いたんだと解釈しています。
セオドアが自分の身分を隠したがる心境を、ファザコン同盟のカインさんはよく理解してたと思うのでw

……とまあ、そんなこまかーい話をそのうちちゃんと本にしたいです……どうしても書きたいセシルさんとカインさんの話で、軽く30年分の話なので、ほんっと長いんだよね……。
ざっくりした大筋を人に語ったことがあるんですが、感想は一言「それどこがカイセシ?っていうかホモはどこ?」と言われましたwww
ぼちぼち準備して、FF4が25周年迎える頃までには完成させたいと思ってます……年単位の計画だな。

ほっとくと話がどんどん逸れますね。
それではまた明日!